
遺伝
GROUP
幅広いサブスペシャルティ領域のグループがあります。
各専門領域のスペシャリストと
安全かつ高度できめ細かい医療を提供しています。


遺伝


主な対象疾患
遺伝性疾患全般
この診療グループの強みや特徴
- 臨床遺伝専門医による遺伝学的検査の検討、カウンセリングが実施可能であること
- 保険診療により実施可能な各種遺伝学的検査(マイクロアレイ染色体検査、かずさDNA研究所における遺伝子解析)が実施可能であること
- 遺伝子診療センターと共同で実施しているTMU-decisionによる次世代シーケンサーを用いたエクソーム解析の実施が可能なこと
- 遺伝性疾患の病態解明を目指した基礎研究へのリクルートや研究実施施設との連携が可能であること
- AMEDによる全ゲノム解析研究を実施する施設との密な連携
患者さんに対して心掛けているケアやサポート
患者さんおよびそのご家族が、遺伝学的検査の有無や今後の治療について自律的な選択ができるように、情報提供を努めております。
現在行っている研究プロジェクト
a)Prader-Willi症候群の病態解明および治療方法開発を目指した研究
Prader-Willi症候群(PWS)は15番染色体上にある5Mbにわたるインプリンティング領域の機能不全で生じ、この領域に含まれる複数の遺伝子の機能不全がその病態に関わっています。我々はエピゲノム編集を行うことで、当該領域のインプリンティング状態を変えることに成功しました。そのエピゲノム編集技術を用いて、PWS患者特異的iPS細胞より正常機能を有する視床下部-下垂体を作成することに成功し、いま疾患病態解析を進めています。In vitro疾患モデルを作成することで患者細胞由来視床下部を用いた創薬スクリーニングを行うことが可能となり、また患者細胞由来の正常機能を有する視床下部―下垂体系は細胞治療のツールとして臨床応用可能と考えています。
b)Kosaki overgrowth 症候群の病態解明および治療方法開発を目指した研究
Kosaki過成長症候群は、20歳ごろより冠動脈瘤や脳動脈瘤が生じることが近年わかってきております。我々は患者iPS細胞より血管壁を構成する細胞群を作成し、患者特異的な細胞動態の異常および、遺伝子発現の異常を見出しております。それらを用いた創薬スクリーニングをすすめています。
c)Takenouchi Kosaki 症候群(TKS)病態解明および治療方法開発を目指した研究
Takenouchi-Kosaki症候群は細胞遊走に関係するCDC42遺伝子の異常により生じる。この因子は神経堤細胞において上皮間葉転換をおこす重要な因子であることが知られている。近年、神経堤細胞は神経発生においても重要であることが示唆されており、患者由来iPS細胞を用いて、本疾患における神経発生の異常および神経堤発生の異常について、病態メカニズムの解明を試みている。
この研究を通して目指していること
様々な遺伝性疾患についてin vitroモデルを作成し、病態解明およびそれに基づく創薬研究を推進したいと考えています。
共同研究
慶應義塾大学医学部 臨床遺伝学センター、慶應義塾大学再生医療リサーチセンターで訪問教員をしており共同研究を行っています。また慶應義塾大学脳外科とも共同研究を進めています。また海外を含め、試料の解析などについて、随時連携しております。
教育の中で特に強調しているポイント
遺伝学における科学的に重要な考え方の習得。
定型的な遺伝カウンセリングという学問を習得した上でそれぞれのスタイルを持ちカウンセリングを実施することが重要と考えています。
今後の教育活動
大きく技術革新が進んでおり、受講者においてニーズがある手法があれば、取り入れていきたいと思っています。臨床遺伝専門医を取得するにあたり、「遺伝医学セミナー」を受講して頂いています。
診療グループで働く医師のキャリアパス
臨床遺伝を行うにあたっては、小児科専門医取得後に臨床遺伝の研修を4年間行い、臨床遺伝専門医を取得することが可能となります。遺伝グループは2023年より開始しており、私を含めて7名の医師が所属し、基礎研究を行っている医師が5名、臨床遺伝専門医もしくは研修開始をしている医師が6名おります。
臨床遺伝は、専門領域横断的な知識が多く、幅広い臓器を専門としている医師に有用な知識と考えています。小児科領域で診療する遺伝性疾患には希少疾患が多く、病態解明や治療法開発が未だなされていない疾患が多くあります。基礎研究において多くが知られている遺伝子が関わる疾患も多く、基礎医学と連携しながら、特定の疾患に基礎研究―臨床と横断的に関わる医師の割合が多いと思います。
キャリアパスを考えるにあたって、各々がどのような医師像を目指しているかということが重要と考えます。それに合わせて、必要があれば、各分野で第一線にいる方々にアドバイスをもらえるように紹介したいと思います。
新人医師やスタッフに対して提供している支援や指導
臨床遺伝を学ぶ上で、小児科一般の知識があることは非常に重要と考えています。小児科研修をしっかり習得した上で、臨床遺伝を学ぶことが重要と考えます。
キャリアを進める上で、この診療グループで学べること
遺伝学的検査の解釈、遺伝性疾患やそのケアをされている方々に必要なサポート、身体的な面については幅広くフォローする力がつくと思います。基礎研究についても、興味があれば実施してもらいたいと思っています。

遺伝グループでは、保険適用の遺伝学的検査に加えて、研究として行う次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析による診断を行っています。それらを通して、患者と家族が生活する上で最良の選択を行えるよう支援致します。
