新生児

GROUP

幅広いサブスペシャルティ領域のグループがあります。
各専門領域のスペシャリストと
安全かつ高度できめ細かい医療を提供しています。

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新生児

主な対象疾患

新生児成育医学領域全般(超早産・超低出生体重児、低酸素性虚血性脳症、染色体異常、先天性心疾患、先天性代謝疾患、新生児外科疾患、新生児脳外科疾患など)

この診療グループの強みや特徴

過去3年間の当院NICUの新規入院患者数は年間400件以上で推移しており、総合周産期母子医療センターを含む都内の周産期母子医療センター中2位(全28施設)、地域周産期医療センターおよび大学病院としては1位の実績を堅持し続けています。区西部地域を中心とした近隣の総合病院、産院や助産院からの新生児搬送のお迎え搬送を積極的に行っており、搬送受け入れ実績も都内施設で5指に入り続けています。
入院中の管理だけでなく、NICU退院後の丁寧な発育・発達のフォローアップも心がけています。超早産児や低酸素性虚血性脳症などの重症例の歴3歳時フォローアップ率は95%以上を堅持しており、退院から在宅医療へのシームレスな繋がりを意識した医療を提供しています。

「新生児科」として独立した部門形態をとる大学病院・総合病院が増えている中、小児科・思春期科学分野の一部門として機能することで科内の他グループとの垣根を低く保ち、グループを超えた迅速かつスムーズな診療連携ができていることも強みです。
当院心臓外科では小児の先天性心疾患手術を扱っていないため、重症先天性心疾患の周術期管理を学びたい場合には他施設で研鑽を積む必要があります。国内留学先の実績として榊原記念病院、日本赤十字社医療センター、神奈川県立こども医療センター、長野県立こども病院などが挙げられます。

患者さんに対して心掛けているケアやサポート

患者家族の背景として、予期しない突然の出産に至ったケースや妊娠中・出生後に想定外の疾患が判明するケースが多いため、病状説明時にはご家族の心情に寄り添う姿勢をグループとして大切にしています。
早産出生が予期される場合、胎児診断症例では産科入院中または産科外来通院中の母や両親を対象に、産科チームやNICU看護師と連携したペリネイタルヴィジットを積極的に行っています。

現在行っている研究プロジェクト

単施設研究
  • 脳組織酸素代謝を指標とした新しい早産児管理法の確立(20K16907)
  • 先天性心疾患における肺静脈狭窄の分子機序の解明(21K08872)
  • 新生児集中治療領域におけるサイトカイン/ケモカインの網羅的解析
  • 人工呼吸器NAVAモードの脳循環代謝への影響
  • 週数の違いによるUBとB/A比の関連の検討
  • 新生児期発症の胃軸捻転およびGERDに対する六君子湯の治療効果の検討
  • 医療関連感染症と病院環境の関連性に関する研究
多施設共同研究
  • 低酸素性虚血性脳症の発達予後に関する前方視的レジストリ研究(22K07906)
  • 未熟児PDAに対するアセトアミノフェン療法の有効性に関するRCT(CRB318002)
  • HIV感染妊婦から出生した児の実態調査(21HB1008)
  • 低出生体重児の体動と発達指標との関連の検討(20H04005)

この研究を通して目指していること

日本は諸先進国と比較し、最も周産期死亡率が低い国の一つではありますが、病的新生児の管理についての科学的根拠は限られており、診療のガイドラインなどが定まっていないことがほとんどです。上述の研究内容を通して、様々な新生児疾患の病態解明と病的新生児の管理における新たな管理指標の確立の一助となることを目指しています。

共同研究

神奈川県立こども医療センター、国立国際医療研究センター、香川大学医学部小児科、埼玉医科大学総合医療センターをはじめとした多数の施設と研究協力を行っています。

教育の中で特に強調しているポイント

他科や一般小児診療とは異なり「退院=治療のゴール」ではなく「退院=家族としてのスタート」となる新生児医療の特殊性を理解いただき、救命医療・集中治療の実践と並行して、NICU入院中から退院後の生活をイメージした家族支援・きょうだい支援を行っていくことの重要性を学んでいただいています。
医師である前にひとりの人として、患者さんとご家族に対する思いやりの心をもって対応する姿勢をもって診療に当たる重要性を何よりも強調しています。
ガイドラインが確立しておらず、一人ひとりの患者さんにあったテーラーメイドな医療や対応が要求されることの多い分野であるからこそ、科学的根拠のある標準的治療を前提知識として十分に理解した上で、目の前の患者さんの病態に合致した適切な医療を提供することができるマネージメント力の養成を意識しています。

今後の教育活動

超早産児の新生児蘇生、出生直後に小児外科チームと連携した処置が必要な小児外科疾患の患者さんの新生児蘇生の様子を3Dカメラで撮影し、専用のヘッドセットを装着することで実際の医療現場にいるような疑似体験ができるプログラムを作成中です。

診療グループで働く医師のキャリアパス

日本小児科学会 小児科専門医取得後は、日本周産期・新生児医学会が認定する周産期(新生児)専門医の取得を目指すことになります。基幹施設である東京医科大学病院で通算3年間の専門医研修が必要です(東京医科大学八王子医療センターにおいても補完施設として半年間を上限とした専門医研修が許可されています)。研修期間を通じて多岐にわたる新生児疾患の治療管理、診療に必要な手技や知識の習熟に努め、研修修了後に専門医試験を受験し、これに合格することで周産期(新生児)専門医の資格を得ることができます。

その他、新生児成育医学領域の関連学会の認定資格として、日本小児科学会 出生前コンサルト小児科医、日本周産期・新生児医学会 新生児蘇生法インストラクター、日本新生児成育医学会 フォローアップ認定医、国際認定ラクテーションコンサルタント(ICBLC)などが挙げられます。これらの認定資格の取得についても、積極的に目指していただきたいです。

新人医師やスタッフに対して提供している支援や指導

新人医師がNICU当直を開始する際には、開始当初1か月間は当直PHSを持たず、上級医とともに2人体制で当直業務にあたります。2か月目からは上級医を院内オンコールとして待機させた状態でNICU当直を行います。3か月目からは単独でNICU当直業務を行っていただきますが、休日や夜間もグループの上級医に相談できる体制を構築しているため、安心して新生児医療の研修を行うことができます。
また、当直当日と当直翌日には休暇の時間をとれるよう配慮し、忙しい中にもメリハリのある勤務体制の構築を目指しています。

他施設では、ある程度の学年(フェローやスタッフ)に達しないと診療を許可されない重症例(例:極低出生体重児や低酸素性虚血性脳症など)であっても、当グループでは本人に積極性と責任感があるのであれば、若手医師であっても上級医のバックアップの下で担当医として重症例の診療を許可していることも特徴です。
学年が若いうちは学会や研究会への参加があまり認められず、病棟での留守番を任される施設も多いですが、当グループでは学会発表や自己研鑽の目的があるのであれば、学年によらず積極的な関連学会・研究会への参加を推奨しています。

キャリアを進める上で、この診療グループで学べること

新生児成育医学領域は、出生前診断、救命医療、集中治療、在宅医療、患者家族支援、終末医療、看取りの医療など、小児科診療というひとつのジャンルに留まらない、医療における重要なエッセンスがぎっしりとつまった分野であると自負しています。将来的にどのような道に進むことになったとしても、当グループで研鑽した経験が先生方のキャリアの大きな礎になると信じています。

新生児

当科ならびに新生児グループに興味を持たれた臨床研修医の先生方がいらっしゃいましたら、下記フォームよりお問い合わせください。

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